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「アフターダーク」の名言集を紹介

「アフターダーク」の名言集

アフターダークの名言集

アフターダーク

出版社:講談社
単行本発売日:2004/9/7
単行本:288ページ

P.132
高橋 : 「僕にはそれほどの才能はない。音楽をやるのはすごく楽しいけどさ、それで飯は食えないよ。何かをうまくやることと、何かを本当にクリエイトすることのあいだには、大きな違いがあるんだ。僕はけっこううまく楽器を吹くことができると思う。褒めてくれる人もいるし、褒められるともちろん嬉しい。でもそれだけだ。だから今月いっぱいでバンドやめて、音楽からは足を洗おうと思ってるんだ」

マリ : 「何かを本当にクリエイトするって、具体的にいうとどういうことなの?」

高橋 : 「そうだな……音楽を深く心に届かせることによって、こちらの身体も物理的にいくらかすっと移動し、それと同時に、聴いてる方の身体も物理的にいくらかすっと移動する。そういう共有的な状態を生み出すことだ。たぶん」

P.141 : 高橋
「法律を勉強するのは、音楽をやるほど楽しくないかもしれないけど、しょうがない、それが人生だ。それが大人になるということだ。」

P.213 : 高橋
「一度でも孤児になったものは、死ぬまで孤児なんだ。よく同じ夢を見る。僕は七歳で、また孤児になっている。ひとりぼっちで、頼れる大人はどこにもいない。時刻は夕方で、あたりは刻一刻と暗くなっていく。夜がすぐそこまで迫っている。いつも同じ夢だ。夢の中では、僕はいつも七歳に戻っている。そういうソフトウェアってさ、いったん汚染されると交換がきかなくなるんだね」

P.241 : コオロギ
「世の中にはね、一人でしかできんこともあるし、二人でしかできんこともあるんよ。それをうまいこと組み合わせていくのが大事なんや」

P.244 : コオロギ
「人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないのかな。その記憶が現実的に大事なものかどうかなんて、生命の維持にとってはべつにどうでもええことみたい。ただの燃料やねん。新聞の広告ちらしやろうが、哲学書やろうが、エッチなグラビアやろうが、一万円札の束やろうが、火にくべるときはみんなただの紙きれでしょ。火の方は『おお、これはカントや』とか『これは読売新聞の夕刊か』とか『ええおっぱいしとるな』とか考えながら燃えてるわけやないよね。火にしてみたら、どれもただの紙切れに過ぎへん。それとおなじなんや。大事な記憶も、それほど大事やない記憶も、ぜんぜん役に立たんような記憶も、みんな分け隔てなくただの燃料」

P.256 : 中国人組織の男
「逃げ切れないよ」
「逃げ切れない。どこまで逃げてもね、わたしたちはあんたをつかまえる」
「わたしたちは、あんたの背中を叩くことになる。顔もわかってるいるんだ」
「いつかどこかであんたの背中を叩く人間がいたら、それはわたしたちだよ」
「あんたは忘れるかもしれない。わたしたちは忘れない」
「逃げ切れない」

P.279
マリはふと思う、私はこことは違う場所にいることだってできたのだ。そしてエリだって、こことは違う場所にいることはできたのだ。

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