舞台「海辺のカフカ」の田村カフカ役に柳楽優弥!!
俳優の柳楽優弥(21)が村上春樹氏(62)原作、蜷川幸雄氏(76)演出の舞台「海辺のカフカ」(来年5月3~20日予定、彩の国さいたま芸術劇場)に主演することが15日、分かった。柳楽は今回が初舞台となる。蜷川氏の強い希望で主人公の15歳の少年・田村カフカ役に決定した。村上作品が日本人演出により舞台化されるのは今回が初めてで、こちらも注目される。
世界的な作家、演出家による豪華な作品に、14歳でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した柳楽が主演で初舞台を踏むことになった。
「海辺のカフカ」は村上氏が02年に出版、ベストセラーとなった長編小説が原作。父親にかけられた「呪い」から逃れるため、「世界で最もタフな15歳になる」ことを決意、四国へ旅立った少年カフカの物語だ。
初舞台に臨む柳楽は「すごく怖い気持ちと、不安な気持ちが強かったです。ただ、その気持ちを忘れずに正々堂々と努力したい」と語った。原作については「共感した部分もありましたが、ほとんどはカフカという人物にあこがれを持ち、原作を読ませていただきました。もちろん、すごく魅力的でした」という。蜷川氏については「僕にチャンスをくれた蜷川さんと関係者の方には本当に感謝しています。初めての舞台で分からないことだらけだと思いますが、一生懸命な気持ちで挑むつもりです」と語っている。
柳楽をカフカ役に抜てきした蜷川氏は「真っ先に浮かんだのが柳楽くんでした。怜悧(れいり)【注】で芯の強そうな感じがカフカ少年にぴったりだと思いました」と説明する。また、「14歳でカンヌの賞を取った後の柳楽くんは、すごく困難な道を歩むだろうと想像していました」とも言い、一時休養するなど栄光と挫折を味わった柳楽の人生を思いやり、「この役をやること、この芝居が成功することでいくらかでもその困難さが減っていくならばうれしい」と語った。
これまで海外の演出家が手掛けた例はあるが、日本人による村上作品の舞台化は初。デビュー作から村上氏の小説やエッセーを愛読、俳優の演技レッスンにも活用してきたという蜷川氏の熱意が通じ実現した。今回は米国のフランク・ギャラティ氏が08年に舞台化した際の脚本を翻訳し、共演者には田中裕子(56)、長谷川博己(34)、佐藤江梨子(29)、木場勝己(61)らが決まった。大阪公演も予定している。