「国境の南、太陽の西」の名言集
国境の南、太陽の西
出版社:講談社
単行本発売日:1992/10
文庫本:302ページ
P.40
人間というのはある場合には、その人間が存在しているというだけで誰かを傷つけてしまうことになるのだ。
P.55
いちばん大きな問題は僕が彼女を納得させることができないということなのだ。そして何故僕が彼女を納得させられないかというと、それは僕が僕自身を納得させられないからだった。
P.110 : 高校時代の同級生
「誰かの人生というのは結局のところその誰かの人生なんだ。君がその誰かにかわって責任を取るわけにはいかないんだよ。ここは砂漠みたいなところだし、俺たちはみんなそれに馴れていくしかないんだ。」
P.241:島本さん
「あなたが運転しているのをこうして横で見ていると、私ときどき手を伸ばしてそのハンドルを思い切りぐっと回してみたくなるの。そんなことをしたら死んじゃうでしょうね」
P.247:ハジメ
「僕は君のことを愛している。それはたしかだ。僕が君に対して抱いている感情は、他のなにものをもってしても代えられないものなんだ」
「それは特別なものであり、もう二度と失うわけにはいかないものなんだ。僕はこれまでに何度か君の姿を見失った。でもそれはやってはいけないことだったんだ。間違ったことだった。僕は君の姿を見失うべきではなかった。この何ヶ月かのあいだに、僕にはそれがよくわかったんだ。僕は本当に君を愛しているし、君のいない生活に僕はもう耐えることができない。もうどこにも行ってほしくない」
P.247:島本さん
「私には中間というものが存在しないのよ。私の中には中間的なものは存在しないし、中間的なものが存在しないところには、中間もまた存在しないの。だから私を全部取るか、それとも私を取らないか、そのどちらかしかないの。それが基本的な原則なの。」
P.250:島本さん
「私は十二のときから、もうあなたに抱かれたいと思っていたのよ。でもあなたはそんなこと知らなかったでしょう?」
P.252:島本さん
「私は急ぎたくないのよ。だってここに来るまでにこんなに長くかかったんだもの。私はまずあなたの体を全部この目で見て、この手で触って、この舌で舐めたいの。ひとつひとつ時間をかけてたしかめたいのよ。まずそれを済ませないと、私はそこから先に進めないの。」
P.290:有紀子
「資格のことは忘れなさいよ。きっと誰にも資格なんていうようなものはないんだから」
P.296:有紀子
「あなたはまたいつか私を傷つけるかもしれない。そのときに私がどうなるか、それは私にもわからない。あるいは今度は私があなたを傷つけることになるかもしれない。何かを約束することなんか誰にもできないのよ、きっと。私にもできないし、あなたにもできない。でもとにかく、私はあなたのことが好きよ。それだけのことなの」