「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の名言集
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
出版社:文藝春秋
単行本発売日:2013/4/12
単行本:376ページ
P.40 : 沙羅
「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない」
「それだけは覚えておいた方がいいわ。歴史を消すことも、作りかえることもできないの。それはあなたという存在を殺すのと同じだから」
P.87 : 緑川
「人間にはみんなそれぞれに色がついているんだが、そのことは知っていたかい?」
P.307
人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。
P.315 : エリ
「生きている限り個性は誰にでもある。それが表から見えやすい人と、見えにくい人がいるだけだよ。」
P.318
つくる:「僕はユズを殺したかもしれない」
「その夜、彼女の部屋のドアをノックしたのは僕かもしれない」
エリ:「ある意味において」
「ある意味においては、私もユズを殺した」
「その夜、彼女の部屋のドアをノックしたのは私かもしれない」
P.321 : エリ
「私たちはこうして生き残ったんだよ。私も君も。そして生き残った人間には、生き残った人間が果たさなくちゃならない責務がある。それはね、できるだけこのまましっかりここに生き残り続けることだよ。たとえいろんなことが不完全にしかできないとしても」
P.323 : エリ
「たとえ君が空っぽの容器だったとしても、それでいいじゃない」
「もしそうだとしても、君はとても素敵な、心を惹かれる容器だよ。自分自身が何であるかなんて、そんなこと本当には誰にもわかりはしない。そう思わない?それなら君は、どこまでも美しいかたちの入れ物になればいいんだ。誰かが思わず中に何かを入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器に」
P.324 : エリ
「心を開くことがいつもいちばん良い結果をもたらす。」